UTMB参加者を分析した記事の紹介(その2)
前回に続き、香港を拠点としたトレラン組織のUTMBに関する英文記事の紹介です。2018年の記事なので、既に目にされた方もいるかもしれませんが、以下に内容を要約(意訳)してみました。興味ある方はリンク記事も参照下してみてさい。グラフなどがわかりやすいですよ。また、最後にあるアドバイスの5番目なんかは参考にできそうです。
以下の2個の記事の内、今回は記事2を紹介します。
記事1:UTMB参加者の構成に関する分析:国、年齢、ITRAスコアなど
UTMB研究:参加者データ(関連記事の紹介) - 健脚研究会
記事2:リタイア(DNF)に関する分析:DNFが多いチェックポイント地点など
0.予備知識
紹介記事に採りあげられているチェックポイントCP(エイドステーション)の場所を参考に地図で示します。ボクの通過時刻も参考に記入。
地図中の番号はDNFが多いCP(記事2-(1)参照)
1.The Key Stats 分析概要
(1) 2015年~2017年の平均DNF率は38%
- 2015年 38%
- 2016年 43% 日中暑かった年 14-25度
- 2017年 33% 寒かった年 悪天候でコース短縮
(2)DNF率の男女比
- 男性37%、女性43% 若干男性の完走率が高い
- ただし、男性の方が、序盤のリタイアが多い傾向あり。前半のコンバル湖(地図⑤)にてDNFとなる割合:男性34%、女性29%
⇒補足:クールマイヨールになると男女比は50:50です。
2.DANGER Checkpoints 要注意なチェックポイント
(1)リタイヤが多いCP Top5
一番多いのは中間地点のCourmayeur(クールマイヨール)、約150名がDNF。
- Courmayeur(地図①) 17.7% :中間地点、シャモニへ戻りやすい
- Arnouvaz (地図②)15.4%: 冷え込んだ2017年は数値が特に高い。
- La Fouly (地図③)13.9% :ランナーが疲労を感じ始める
- Contamines(地図④)10.5% :最初の大きなCPで継続を断念
- Lac Combal(地図⑤) 8.9% :夜明けで継続を断念
(2)街中CP v.s. 山中CP
- CPの立地について、山中のCPは約40%(街中:約60%)もあるが、山中CPでのDNFは8%しかない。暖かいベッドの誘惑に負けちゃって街中CPでやめるランナーが多いようです。
(3)補足(記事には記載なし)
- 記事にはないのですが、データを見ると、クールマイヨール(地図①)までに約半分50%がリタイヤしています。
3.Worried About Cut-Offs? 足切りの心配は?
- レース序盤のGervais(地図⑥)とContamines(地図④)までは時速約5km/hは必要。後半は時速約3km/h、でも疲れた脚にはかなりキツイ。
- もしスピードに自信がなければ、アルヌーヴァ(地図②)とコンバル湖(地図⑤)の通過までは注意が必要。関門時間の足切りは、アルヌーヴァ、コンバル湖で25%、20%と多い。
⇒(追記)個人的にはコンタミン(地図③)までが関門の勝負でした。
4.Almost home! ゴールまであとわずか
- シャンペ湖(地図⑦)を通過したランナーの完走率は94% 残り47kmとの安堵感がランナーを後押ししているようだ。
- 50歳以上のランナーのDNF率は全体的にも高い。でも、シャンペ湖を超えるとぐっと低くなる。
⇒「シャンペラックを越えたら完走は見える」、UTMBレース中に会話したランナーから聞いたのを覚えています。このデータ分析には、納得してしまいました。
5.Pro Tips to Avoid the Dreaded DNF プロからのアドバイス
- Majell Backhausen:いろいろな困難なことが起こるけども、逃げずに立ち向かえ
- Emily Woodland: エイドで充電は必要だけど長居はだめ。蹴りだしてくれるサポーターいると心強い
- Marie McNaughton:人は感じている以上にできるもの。もうだめと思ってもまだ動ける。だいたい40%ぐらいしか使っていないのだ。
- John Ellis:スタートラインに立つまでの準備で80%は決まる。暖かいエイドから次へ進むのがつらいのはちょっとだけ、始まったら歩いてでも動き続けること
- Jeri Chua:気持ちを高めるものを目につきやすい所に貼るといい
- モチベを上げる言葉:「申し込んだのは自分だ。」「痛いのは気のせい。」「ゴールしなきゃ後悔するよ」
- 子供やペットの写真
- DNFチェックリスト:出血しているか?故障しているか?続けたら死ぬか?
まとめ
- 項目2-(1)のDNFが多いCPについて、2019年のデータを整理中ですが、ほぼ似た傾向にあります。(整理が終わったら公開予定)
- よく分析された記事なので、記事中のグラフを見るだけでも面白い。
- シャンペラックを越えればFinishは確率はぐっと高い!
- アドバイス5-5の内容なんかは参考にできそう。
下記はデータ集計のイメージ図
ご意見・ご要望など、お気軽にコメント下さい。
では、また。