健脚ラボ

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UTMB研究:完走時間の平均40時間の検証_UTMB2019リザルトを整理して解ったこと

UTMB2019リザルト分析

UTMB完走ランナーのフィニッシュ時間について、分析してみました。UTMBのフィニッシュ時間、制限46時間30分に対して、完走者平均は約40時間との記事をよく見かけます。この平均40時間って速いなぁ~っと思っていて、前回取り上げた香港記事の分析に興味をもったこともあり、今回UTMB2019リザルトのデータを集計してみた。その他の項目も整理してみたので、紹介します。 

1.データ分析

(1)UTMB2019のフィニッシュ平均時間

ボクの完走時間が45時間でもあって、この平均約40時間ってほんまかいな?っと前から気になってた。そこで、UTMB2019のリザルトから、1時間単位で何人完走しているかを集計してみました(例:完走44時間45分⇒44時間でカウント)。グラフ図1がその結果です。

  • UTMB2019の完走時間平均は39.2時間。通説の約40時間は間違いではないみたい。
  • 44~45時間台の2時間内に完走したランナーが全体の約1/4
  • トップのPau選手20時間19分から約20時間後(39時間代)に約50%が完走し、残りの約6時間で約50%のランナーがフィニッシュしている。    

ボリュームゾーンが44-45時間台ってのがわかって少しスッキリ。

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(2)ゼッケン番号と完走率

ゼッケン番号(Race Bib Number) がITRAのパフォーマンスインデックス(戦闘力)順らしいので(真偽は未確認)、完走率との関連性があるのか?気になって集計してみました。ゼッケン番号の100番単位で完走とDNFの割合をグラフにしてみたのが図2です。なお、次のデータは対象外にしています。①1~200番台:エリートランナーの為、②2700番台以降:上位完走者が急に増えるため条件が違うと判断。

  • UTMB2019全体の完走率61%、
  • ゼッケン1500番台までの完走率:約70%
  • ゼッケン2000番台までの完走率:約60%
  • ゼッケン2100番台以降、完走率:50%以下。2500番台35%、2600番台:17%

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ちなみにボクのゼッケン番号は2500番台。UTMBのITRA難易度420に対して、当時のITRA戦闘力が419。グラフを見ると2500番台の完走率35%でほぼ完走のボーダーラインだ。ゼッケン番号2000番台以降は、番号が大きくなるにつれて完走率が次第に低下していることがわかる。これからITRAのパフォーマンスインデックスの指標は、やはりランナーの実力をそれなりに反映している気がしています。(あくまで、ゼッケン番号がITRA指標順と仮定した場合ですが)。

参考記事:UTMB2019冒険記11:走力の目安 - 健脚研究会

(3)DNFが多いCP

 香港の記事にあったDNFが多いチェックポイント(CP)についての分析をUTMB2019でもチェックしてみたのが図3です。左端の丸数字は記事(UTMB2015-2017のデータ)でDNFが多かったCPランキング順です。

  • UTMB2019では、②Arnouvazが最多。多くの市民ランナーが2日目の昼に通過する区間であり、UTMB2019は日中の気温が30℃以上と暑かった為、体調を崩したランナーが多かったと推測。

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UTMB2019も、香港の記事による2015~2017年とほぼ同じ傾向なようです。

(4)CPでのDNF傾向 

 これも香港記事にあったCPでのDNF傾向をチェックしてみたのが図4。傾向としてUTMB2019でも同じ傾向が見られました。

  • CP番号8.Lac CombalまでのDNF割合は、女性より男性が多い
  • CP番号12.Courmayeur(中間地点)までで、DNFが約50%ある
  • CP番号18.Champexを超えると、DNF割合が減少する 

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前半にリタイヤする割合が、男性が多い傾向にあるのが興味深いです。参加者の男女比が9:1でデータ数が違うのも要因かもしれませんが。他レースなどでも研究をしてみたいテーマです^^

香港記事の内容記事のリンク:

UTMB研究:DNFが多いCPはどこ?(関連記事の紹介) - 健脚研究会

【参考】上記(3),(4)のチェックポイントを示す地図

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2.まとめ

 以上、UTMB2019のリザルトから整理してみました。単純な整理ですが、以下の傾向が見えるようです。

  • UTMBの平均完走時間は約40時間。完走者の半数は40時間以降の6時間でフィニッシュしている。
  • ITRAのPerformance Indexはランナーの走力をそれなりに示していそうだ。
  • DNFは中間クールマイヨールが多い、シャンペ湖までくるとゴールは見える。
  • 男性の方が前半でDNFする割合が多い

夏休みの研究として取り組んでみたものです。グラフの数値が小さいなど解りにくい点はご容赦下さい。

 

ご意見・ご要望はお気軽にコメント下さい。

では、また。

UTMB2019冒険記の目次

https://www.kenkensblog.info/entry/2020/05/01/000000