先日紹介した本”シティ・マラソンズ”、この本に興味を持つ人の多くがチェックしていたので、とりあえず読んでみた本「駅伝ランナー」。これが面白くて、夢中で立て続けに完結編の3冊目まで一気読み。とても良かったので、今回紹介してみます。
書名 駅伝ランナー、駅伝ランナー2、駅伝ランナー3
著者 佐藤いつ子
発行 2010年、 2018年、2018年
1冊目の内容は、主人公である走ることが好きな小学校6年生の男の子、この少年の成長物語。地元の駅伝大会を通して、駅伝がますます好きになっていく。未熟な上に気持ちをうまく伝えることができず葛藤するシーンなどの心理描写に感情移入。
2冊目、3冊目は、中学の部活が舞台。登場人物も増え、友人、先輩後輩、教師、家族との関係が丁寧に描かれ、どこにでもいそうな主人公の情熱が皆を動かす。そんな展開に引き込まれました。
元々は1冊目完結の本。駅伝ランナー2、駅伝ランナー3は、1冊目の反響が大きかったので、続編として書かれたらしい。
読みながら、ときに卑屈になったり、コンプレックスを感じたり、少年時代に感じていたそんな気持ちを、久しぶりに思い出させられた一冊。
”書くことと走ることは似ている。単調で孤独でストイックな作業にいったん魅せられてしまうと、どんなに落ち込んでもやめたいと思わない。やめられない” あとがきにある作者のこんな姿勢にも共感。
ネットを検索すると、中学の国語入試問題に頻繁に使われる本と知りました。中学入試問題の小説に必要な要素として、「友情・家族・成長がテーマ」と「未読でも心情や状況が伝わる文章」があるそうですが、確かにこの2つの要素が詰まった本だと感じます。
おすすめのポイント
- とても読みやすい。文章の一つ一つが短いけど端的な表現。違和感を感じない程度にひらがな表記が多いからかも。
- この時期にありがちな、未熟な心理状態の表現が繊細で上手い。小6当時の想い出や上手くできなかった出来事などが、フラッシュバックして、めちゃ感情移入。
- ランニングのフォームやレース中の心理描写など、丁寧で詳しい。陸上選手ってこんなこと考えているんだと知れる(いつも漠然と気合だけで走りがちなことを反省。)。取材が豊富なことが伺える。
- 登場人物にそれぞれスポットライトが当たり、部活の青春シーンに泣ける。
- 主人公が前向きに切り替わるシーンに、自分の背中も押され、背筋が伸びること多々。”自分が出るっていったからさ。せいいっぱいがんばるよ。胸がズンとした”
どこにでもいそうな主人公。その主人公の”走ることが好き”の情熱が周りを動かす。子供だけでなく大人も共感できる一冊です。
紹介本”シティマラソンズ”の過去記事
【読書】NY・TYO・PARを走る3つの物語:シティ・マラソンズ 42.195km先の私に会いに行く - 健脚ラボ
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では、また。
UTMB2019冒険記の目次
UTMBを目指す市民ランナーの為の記事。レースの様子、シャモニへの行き方、宿泊、必要費用などについて、2019年参戦したことを書いています。興味あれば覗いてみて下さい♪