健脚ラボ

トレランと旅と読書などがテーマの不定期ブログ

【読書】サハラ砂漠への情熱とエネルギーに満ち溢れた冒険本:サハラに死す

先日旅関連サイトで紹介されていた本「サハラに死す」(上温湯 隆著)

これは”危険な本”。この本を読んだらサハラ砂漠へ行きたくなる。そんなフレーズに惹かれて、初めて読んでみたら、ホントにやばい本だった。

旅への興奮を駆り立てる、禁断の果実のような本『サハラに死す』 | TABIPPO.NET

内容は、 サハラ砂漠に青春のすべてを賭けたひとりの青年の、サハラ砂漠7000キロ単独横断の挑戦。1973年、著者が22歳の時、1頭のラクダのみを連れ、ガイドも付けずに挑んだ実話。単なる冒険記としても十分スゴイのだけれども、この冒険にかける著者の強烈な想いがビシビシと伝り、純粋な気持ちが、心にグサグサと突き刺さり、胸が熱くなった。

カバー写真に琴線が触れた人、サハラ砂漠に興味がある人、冒険好きな人、初版1975年の本書にまだ触れていなければ、ぜひ読んでほしい。

上温湯隆氏の生きざまを、多くの人に知ってほしい。

書 名:サハラに死す

著 者:上温湯 隆

発 行:1975年

 

冒頭のページにある文章をちょっとだけ抜粋。

「砂漠の旅はいつも死と隣合せにある。過去三回のサハラ砂漠の縦断旅行でそれは身にしみてわかっている。しかし今、アフリカの砂漠の何かが僕の魂を激しく揺り動かしていた。サハラが僕を呼んでいる。生と死の極限状況のなかで、自分の青春を賭けてみたい、この世に生まれた自分の証しを凝視めて、その真実を探しあてたい、その思いが僕を駆りたてる。」

サハラが僕を呼んでいる。かっこえぇ。この文章だけで、もうドキドキ。全編を通してず~っと熱い気持ちに包まれたまま、あっという間に読み終えた。

出版は1975年。ネットもSNSもない時代。”世界を旅する日本人バックパッカ達のほとんどがこの本を読む程、本書の与えた影響は大きかった”、とのエピソードにも、納得。

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下地図の赤破線が、サハラ砂漠横断7000キロのルート。ちなみに、北海道の最北端から鹿児島の最南端までの距離が約3000キロです。

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そして、あとがきの中のサハラ砂漠の描写が生々しい。

  • 南北に縦断するルートはいくつかあるが、東西を横切るルートは皆無で、途切れ途切れにあるオアシスの点と点を結ぶしかない。車などとても入ることが不可能な、前人未到の熱砂の海。
  • 無限とも思われる単調で危険な砂漠の旅。50度もある猛暑。熱風。砂嵐。頭上を舞うハゲタカの群れ。

実際、30分しか眠れぬ夜を過ごしたり、食料がなく3日半さまよったり。著者の挑んだ戦い、過酷度合が半端ない!

トレランを始める前のボクなら、今回の本などは、自分とはかけ離れた特殊な変人達の世界として理解できず、触れることもなかったと思う。でも、今は違う。トレランを通じていろいろ経験した。困難を乗り越えることにより得られる"生きているという感覚"、とても共感できる。そして、その困難を求めて冒険に挑むことの価値を知っている。トレランで人生が豊かになったよ(良い悪いは別として)。

サハラ砂漠の砂を踏んでみたい。横断は無理としても、サハラ砂漠マラソンに興味が出ている。。。

ほんとに”危険な本”だ。

 

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では、また。

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