以前、女性の方がウルトラマラソンに向いていると感じているのはボクだけかな? - 健脚ラボ、なんて記事を書いたりした。興味をもってくれた方も多く、関心の高さを感じています。
それからも気にしてネットをチェックしていたら、それに似たような記事がヒット。
今回紹介するのは、アメリカのウルトラトレラン情報サイトのiRunFarの記事:Unlocking Female Performance in Ultramarathon (意訳:女性のウルトラマラソン能力が高い理由に迫る)です。
マラソンにおける男女のフィニッシュタイムの差は、距離が長くなるにつれ縮まり、195mile(310km)で女性優位になる。2020年にそんな研究が報告されたようです。(ちなみに、フルマラソンのフィニッシュタイムは約11%男性が速い)
この記事では、以下の点から、女性が長距離に強い理由を考察した内容になっています。
- 筋肉の質の影響
- 性ホルモンの影響
- 胃腸系の影響
早速、記事の概要
0.男女のパフォーマンス差
1996年から2018年まで、約5百万人のデータ分析によると、距離が長くなるにつれて、マラソンのフィニッシュタイムの男女差は縮まるとの結果が、2020年に報告された。ランナー全体の傾向として、フルマラソンでは、男性が約11%速い。100マイルレースでは、0.3%の差しかなく、195mile(310km)で逆転して、女性の方が0.6%優位となるそうだ。
- 5k +17.0%
- 42.195k 11.1%
- 50k 5.3%
- 50 mile (80k) 3.7%
- 100 k 0.5%
- 100 mile 160k 0.3%
- over 195 mile (310 k) -0.6%
一方、50マイル(80km)から3,100マイル(約5,000km)の距離で、男女の上位Top10のタイムを比較すると、全距離で10%~19%は男性優位との報告もあるらしい。この記事では、TOPランナーだけでなく、市民ランナーも含めたランナー全体の傾向を言及しています。
1.筋肉の質の影響
- 筋肉繊維には、遅筋(タイプⅠ:長時間の有酸素運動に有利)と、速筋(タイプⅡ:急速な運動に優位)の2種類あるが、最近の研究では、男性よりも女性が遅筋の割合が多い(36%対44%)
- 男性は女性に比べ筋肉の繊維が太いので、細部まで血流がいきわたらず、筋肉の疲労が早い
2.性ホルモンの影響
- 体内脂肪のエネルギー利用力が高いのは女性。女性ホルモンのエストロゲン(estrogen)や特異たんぱく質(CD36)が、女性に多いから。このホルモンは、月経との関係が深い。
- 男性は無謀なレース展開で自滅する傾向が高い。男性ホルモンのテストステロン(testosterone)は、筋肉の増加や体脂肪を減少をもたらす。このため、短距離やパワースポーツで、男女差がでる。だだ、このテストステロン、衝動的に無謀な行動を犯す要因、とも言われている。100kmレース中のペース変動幅は、男性15.6%、女性11.7%とのデータもある。この理由は、筋肉の疲労感が男性が強いためでもあるが、テストステロンの影響から序盤から飛ばしすぎる傾向が男性に多いとの見解もある。
3.胃腸の影響
- ウルトラマラソンでリタイヤとなる理由は、練習不足と胃腸トラブルが多い。女性は男性に比べ小柄なことから、胃が約%10%小さいため、食べられる量が少なく、また、食料の消化が遅い。これらの事により、女性が胃腸関連のトラブルを起こしやすい傾向があるとの研究結果がある。
以上の3点の考察より、胃腸系の弱みはあるものの、筋肉の疲労と脂肪からのエネルギー吸収に優れることで、ウルトラマラソンの距離が長くなれば、女性優位の傾向が強まると考えられるようだ。
以上、記事の紹介でした。
難しいことは解らないけど、感覚的には説得力がある内容だと感じています。
男性は無謀なレース展開をしがちな事の指摘、グサッときました(汗)
でも実際、レース終盤でも粘り強くタフなのは、男性よりも女性が多いと思いませんか? 関門ギリギリランナーとしての経験から、そう感じています。
最後に、専門的な知識や単語が多いので、解釈が間違っていたら、ご容赦ください。
過去記事のリンクです。
【2022.05.13追記】
鹿屋体育大学教授山本氏の著書「登山の運動生理学とトレーニング学」にも、ウルトラマラソンで女性が有利な点が書かれていました。女性は総じて、低強度・長時間の耐久運動では、男性よりも強さを発揮する。その究極の例が寿命。
BMIが小さく身が軽い、柔軟性に優れる、様々なホルモンの働きなどが、関係しているそうです。
ご意見・ご要望はお気軽にコメント下さい。
では、また。
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UTMBを目指す市民ランナーの為の記事。レースの様子、シャモニへの行き方、宿泊、必要費用などについて、2019年参戦したことを書いています。興味あれば覗いてみて下さい♪